やけど 浜松市中央区(旧南区)の皮膚科 いがらし皮ふ科

やけど

やけどとは

やけど(熱傷)とは、皮膚に高温の液体や化学物質、紫外線などが一定時間以上触れたために、皮膚や皮下組織に傷害が引き起こる外傷をさします。また「低温やけど」と呼ばれる、比較的低い温度(44~60度)で生じるやけどもあります。

やけどの原因

やけどは大きく3段階に分類され、それぞれ症状が異なります。
・Ⅰ度熱傷
・Ⅱ度熱傷
・Ⅲ度熱傷
やけどの重症度はその深さ、範囲(受傷面積)や部位、患者さんの年齢などで総合的に判断します。

I度熱傷

I度のやけどは皮膚のごく浅い「表皮」と呼ばれる部位にのみ傷害が及んだ、最も軽いやけどです。皮膚が赤くなり、ヒリヒリとした痛みを感じますが、通常数日のうちに自然に治り、ほとんど痕も残りません。

II度熱傷

II度のやけどは表皮の奥にある「真皮」と呼ばれる部位にまで傷害が及んだやけどです。 Ⅱ度のやけどはその深さによりⅠ度に近い浅いもの(浅達性Ⅱ度熱傷)と、Ⅲ度に近い深いもの(深達性Ⅱ度熱傷)に分けられますが、いずれもI度熱傷より症状はやや重く、水ぶくれが形成され、強い痛みを伴う場合があります。

ただし、III度に近い場合は痛みを感じる神経まで損傷されるので、逆に痛みが減っていきます。治療期間は範囲にもよりますが、1~4週間ほどです。通常は痕を残さないことが多いですが、傷害を負った部位に色素沈着が生じたり、III度に近い場合では傷跡が残ったりすることもあります。

III度熱傷

皮膚の表皮・真皮だけでなく脂肪・筋肉といった皮下組織にまで傷害が及んだ、極めて重いやけどです。神経や血管も殆ど全滅してしまうため、患部が白っぽい色(時に黒)となり、痛みはほとんど感じなくなります。水疱なども形成されません。治るまでに長い期間(1か月以上)を要し、手術をしないと引きつったような目立つ傷あとが残ることが多いです。

やけどの治療

やけどになってしまったら、直ちに流水で患部を冷やすことが重要です。部位や範囲に合わせて5~30分を目安に氷水や水道水で冷やし、やけどの進行を抑え、痛みを和らげます。ただし幼児や高齢者の広範囲のやけどの場合、長く冷やし過ぎてしまうと低体温になることがあるので、注意が必要です。

衣服を着て強いやけどを負った場合、そのまま脱いでしまうと皮膚も共に剥離してしまう恐れがあるため、水で冷やしてから脱がせます。また水ぶくれができている時も、できるだけ破らないように、衣服を着たままの状態で病院へ行きましょう。

・I度~浅達性II度のやけどの場合
患部をしっかりと冷やした後、傷害を受けた部位の乾燥を防ぎ炎症の改善をするため、塗り薬・受傷部を覆う「被覆材」などを用いて治療します。

・深達性II度~III度のやけどの場合
皮膚を清潔に保ち、塗り薬を使用し、患部を被覆材で覆って治療します。皮膚の再生が期待できない場合は傷害のある皮膚は切除し、広範囲の場合には皮膚の移植治療が必要です。
さらに重症のやけどは、脱水・感染症を起こしやすい状態となるため入院や集中治療が必要となります。また、煙や熱風を吸い込み、気道の粘膜に傷害を起こしている場合には、窒息を防ぐため「気管挿管」を行う必要があります。やけどの面積が小さく、他に浅いやけどしかなくても、高度医療機関で治療が必要です。

やけどをしたら/日常生活の注意点

やけどを負うと傷口から浸出液が出て、水分とタンパク質が漏出します。重症の場合は、脱水状態や「低タンパク血症」になりやすいので、水分やタンパク質を多く含む食事を取るように心がけましょう。また、治癒の促進に効果的なミネラルやビタミンなども積極的に摂ることで、感染症の予防に役立てることができます。